蔵元インタビュー【岡崎酒造場】

旬の地魚“真ふぐ”に合う日本酒醸造に挑戦される萩・阿武地域6蔵元の方々に、蔵の特徴や、マフグに合わせてどのようなお酒を考えられているかなど、仕込みの様子をお聞きしました。

有限会社岡崎酒造場 代表取締役社長 岡崎 考浩 氏




Q.  岡崎酒造場さんの日本酒の特徴を教えてください

岡崎酒造では、米本来の味を最大限に引き出す事に徹した酒造りをしています。米から作る酒の辛さやうまみ、口の中に広がる米の香りを追及した、日本酒らしい日本酒。

代表銘柄「長門峡」は、米の味わいを重視しているので、食事の邪魔をせず、ずっと飲み続けられる日本酒です。
普通酒から吟醸、大吟醸の特定名称など種類も幅広く、食事の様々なシーンに合わせられる造りをしているので、和食にも、洋食にもシーンにあったお酒を選んでもらえたらと思います。

 

Q.  真ふぐをテーマにした岡崎酒造場さんの日本酒とはどのようなお酒になるのでしょうか。

真ふぐに合う日本酒を考えたとき、淡白な刺身には米の旨味、油を使う唐揚げには酸味があるといいなと思いました。そこで、米の旨みと酸味を同時に表現できる「長門峡 純米大吟醸50」を選びました。

 

Q.  真ふぐを刺身で食べるときには、どのような点が合うのですか?

「長門峡 純米大吟醸50」は、50%磨き(精米)で、すっきりとクリアな飲み口です。上品できれいなお酒ですが、淡白な真ふぐの刺身には、もう少し米の旨みがあるほうがいいと思いました。そこで、米の吸収率や麹菌・麹歩合を変えて、従来よりも米の味を出しています。

 

Q.  真ふぐを唐揚げで食べるときには、どのような点が合うのですか?

揚物を食べたあとでも、もたつきを感じさせない切れ味があります。従来よりも酸味を若干強くし、日本酒度を-1から+1へ一段階辛口にしました。米の旨味が徐々に舌の上で溶けて、適度な酸味とアミノ酸が生じることによって、口の中をリフレッシュさせる味わいに仕上げています。

Q.  通常の酒づくりと具体的にどのような作業を変えているのですか?

米の旨みを感じてもらう点では、酒母仕込みで、酵母を入れるタイミングを変えることにより、香りは控えめですが、口の中に米の風味が広がる「ふくみ香」が漂う仕上がりにしています。

Q. 真ふぐのどのような食べ方に合いそうですか?

刺身や唐揚げなどの料理に合わせて、米の甘みから旨みに変化するお酒の味わいを一緒に楽しんでもらいたいです。

今期、実は「長門峡 辛口特別純米」も、真ふぐに合わせて、米の味と切れ味を従来よりも意識しています。日本酒度を従来の+7から+8に変更していますが、米の旨みや味をしっかり出しているので、そこまで辛く感じさせません。
口の中でちょっと辛くぱっとなくなる切れ味も表現できているので、真ふぐ料理と合わせて味わってもらいたいです。

 


 

 

ありがとうございます。
ここからは、岡崎さんについてお聞かせください。

 

Q. 酒造りをする上で気を付けていることは何ですか。

酒造りはまず衛生面に徹底的に気を遣います。菌を扱うので、違う菌が入ると汚染されてしまうんです。一度菌が発生すると、移動し他にも影響が出てきてしまうので、とても注意が必要です。
酒造りは寒い時期に仕込みますが、毎日の掃除はもちろん、使うもの全て熱処理をして、衛生面に細心の注意を払っています。

 

Q.  萩・阿武地区の皆さんにメッセージをお願いします。

萩阿武は、人口がどんどん減っていて、更にアルコール離れする人も多いので、余計に地元で造られる日本酒との縁が薄れている面があります。
萩だけじゃなくて、今はコロナで日本酒を知るイベント的なものが開催できないので、蔵元もきっかけ作りが難しいのですが、機会があるときには、まだ日本酒に興味がない人でも、ぜひ地酒を味わってみていただきたいです。

今回GIに指定されたことにも繋がりますが、萩で造る地酒は、萩のお米を使って、萩の水を使って、萩で精米をして、全部が萩で造られます。小さい頃から育ってきた場所に身体も慣れていて、同じ場所で造られる日本酒も土地、風土気候に合っているから、お酒も身体に馴染むように思います。

飲んで気分が悪くなるというように無理はしないでほしいけど、適度に日本酒を飲んで、それがおいしいと感じられるようになったら、また一つ違う楽しみもできるだろうし。
せっかくの萩なので、刺身にはこういった日本酒を合わせたらおいしいよって、知ってもらえると嬉しいです。

 

 

 

酒蔵名 有限会社岡崎酒造場 
住 所 758-0141 山口県萩市川上464-1
電 話 0838-54-2023
創業と酒名の由来について

国の名勝にも指定され、21世紀に残したい日本の自然100選に選ばれた長門峡の近くで大正13年に創業。その後、昭和45年に阿武川ダムの建設のため、高瀬にあった酒蔵を萩市の上流にあたる現在の場所に移動しました。

代表銘柄「長門峡」の酒名は、川上地域にある美しい自然の渓谷「長門峡」に由来。萩産の酒米をはじめ山口県産米を使用し、阿武川の清流を用いてお酒が作られています。