住吉神社 御船謡

すみよしじんじゃ おふなうた

山口県指定無形民俗文化財

「御船謡」は毛利氏の御座船唄として、藩主が乗船するときや新造船が進水するとき、また年頭に御船倉で代官が乗り初めの行事を催すときに演唱されました。

万治2年(1659)に住吉神社が勧請されてからは、その神幸祭に山車「お船」の上で謡われるようになりましたが、藩政時代には一般人の「お船謡」の演唱は禁じられ、演唱者も世襲的な藩の階級である「浜崎歌舸子(かこ)」の家柄の者14人に限られていました。
明治以降、神幸祭の行事のうち「お船」に関する事柄だけは浜崎の魚問屋が主催し、自家の使用人を使って「お船」を引かせ、問屋の若主人たちが「お船謡」を謡っていましたが、後には浜崎町内で引き受けるようになり、演唱者も浜崎町内の一般男子から選ばれるようになりました。
神社祭事に毎年奉納演奏され、今日まで口伝(くちづたえ)により伝承されています。

お船謡は、7月下旬の吉日に行われる住吉神社の夏大祭の「御祭事始め」に神社の拝殿で演じられ、8月3日の御神幸祭には萩のまちを巡行します。
萩藩の御座船を模した長さ8m、巾2mの木造の船には、真鍮金具を配し両舷に極彩色の「浪に竜」が描かれています。この「お船」に「地謡組」が乗船し、演奏しつつ神輿に供奉します。

【 山口県指定無形民俗文化財 】